「そういえば、合気道について何も書いてなかったなあ」と思い、今回、私が早稲田大学合気道部で富木合気道を学んだ雑感と、武道をオススメする理由について少し書いてみます!
友人にも合気道に興味がある人は一定数いるので、そんな人が合気道(あるいは他の武道)を始める何かのきっかけになったらな、と思います。
富木合気道とは?
富木合気道は数ある合気道の種類の一つ
合気道と一口に言っても、色々な流派があります。私が所属していた早稲田大学合気道部の流派は「富木合気道」と呼ばれるものです。(富木流と言うのはあまり好ましくないそう(師範談))
富木合気道は、合気道創始者植芝盛平先生の高弟で、早稲田大学の教授も務めた富木謙治先生が始めたものです。富木合気道に関してはいくつか良い本があるので、ここで詳しく書くよりも、興味のある人にはそちらを読んでいただく方がいいと思います。
富木合気道は乱取り競技のある合気道
簡単に特徴を言うと、富木合気道とは「乱取りのある合気道」となります。乱取りは試合形式で行われます。
そもそも合気道の最大流派である「合気会」をはじめ、テレビやYouTubeで神業として動画があがっている塩田剛三先生の養神館や、慶應義塾大学合気道部の流派である心身統一合気道会などは、基本的に試合を行いません。
つまり、一般的に合気道は試合を行わない、ということです。「演武」という、決まった技で取って(投げて)、受ける(投げられる)といったことをする競技での、美しさを競うことで評価されます。
富木合気道ではなぜ乱取りを行うのか?
富木合気道は「実戦で使わないと技に嘘が生まれる」という考えに基づく
もともと柔道の高段者であった富木先生は、「実戦で使わないと技に嘘が生まれる」というような考え方をお持ちで、合気道の試合法を確立していきました。
富木先生は道半ばで亡くなってしまったため、富木先生のお弟子さんたち(私もお世話になった方々)が試行錯誤し、形を変えながら発展しています。
乱取りをする・しないは人それぞれ意見がある
合気道では、乱取りもしたほうが良いのか?それとも演武だけした方が良いのか?という問題は、立場の違う方によっていろいろと意見が割れるところです。
合気道の本流に沿うのであれば、乱取りを避けたほうが良いことになり得ますし、実戦的スキルを身につけたい、真剣勝負で自分の技を磨きたい、ということであれば、乱取りもすべきということになります。
富木先生は、乱取り競技を通して合気道の技をより高めようとされていました。
合気道には世界大会もある
合気道は競技化が進んで裾野も広がり、現在では富木合気道の世界大会が(そこまで規模は大きくないものの)、毎年日本と日本以外の国の持ち回りで行われています。
私はスイス大会に参加しました。
富木合気道を学んでみて良かったこと
武道でもスポーツでもなんでもそうですが、体だけでなく、頭もかなり使います。そういったこともあり、私は、ただ合気道をやっていた、というよりも、「合気道を学んだ」という心持ちでいます。
以下に、富木合気道を学んで私が良かったと思うことを、いくつかあげます!
良かったこと①:合気道を通して礼節を学んだ
体育会だったと言うこともあり厳しく刷り込まれたのが、礼節です。
そもそも武道は礼節を大切にするものなので、どんなに強い人でも礼節がなってなければ心の底から敬われませんし、実力はまだまだでも、礼節がなっていればしっかりしている人だと見なされます。(と私は思っています。)
私も実生活では、あまりカタクなりすぎないながらも、年齢の上下関係なく、礼節を持って接するようにに心がけています。親しき中にも礼儀ありですね!
人として成長するために、武道を学ぶことはとても良いです。
良かったこと②:自分の姿勢にさらに気をつけるようになった
合気道を始める前から、歩くときに背筋を伸ばすことだったり、胸を張るだったり、そういったことはある程度意識していました。
ただ、合気道の「良い姿勢」はちょっと違って、合気道で言う「良い姿勢」とは、「倒れない姿勢」「動きやすい姿勢」のことでした。武道の素養がある人は、立ち方でわかったりもしますが、自分が技を仕掛けやすかったり、相手の技に対処しやすい姿勢をとるんですよね。
これは、一朝一夕で身につくものではないので、若いうちにある程度「良い姿勢」を身につけられて良かったです。
良かったこと③:合気道の技を通して人体の構造への理解が進んだ
上と関連していますが、人の関節がどうなると体全体がどうなるのか、といったことを、合気道を通して体感しました。これは、関節技のかけ方を覚えた、とかだけではなく、
- 両足を結んだ線の垂直二等分線上が最も弱い方向
- 重い頭を攻めて相手のバランスを崩す
- 手刀の使い方
などなど、様々なことを学んだ、ということです。
良かったこと④:心をより平穏に保つことができるようになった
私はもともと他人に対して激しい性格ではなく、冷静な(情熱にかける?)人間だったのですが、合気道を学び、平常心を保つことが以前より容易になったのではないかと感じます。
ちょっとやそっとのことでは怒ったりイライラしないですし(自分で思ってるだけ?)、ある意味、物事を達観できるようになったかなと思います。
突然暴漢が襲ってくるという場面に出くわしたとしても(絶対イヤだけど)、合気道経験前と今ではだいぶ対処の仕方が変わってくるのではないか・・と思います。
良かったこと⑤:合気道は話のネタになる
就活で役立つかも
武道、それも合気道をやっている人となると、具体的にイメージがわく人はそんなに多くないので、「大学で合気道をやっていました!」って言うと話のネタになりますし、キャラが立ちやすいかなと思います(笑)
就活でも役立つかもしれませんね。
「大学の体育会系は就職に有利らしい」という認識(推測?)は日本人の多くが持っているんじゃないかと思います。体育会にも大きく分けて下記3つのレベル感があり(筆者によるカテゴライズ)、一般的な体育会のイメージであろう①②について私の所[…]
武道をやっていると逆に争いに巻き込まれづらい
それに、例えが悪いかもしれませんが、「武道をやっている(いた)」と言うことは、ある意味「核兵器を持っているから何かあったらいつでもぶっ放すぞ」という無言の圧力をかけてくる一部の国々と少し似ていて、むやみやたらに殴られたり、からかわれたりすることが減るかもしれません。
そのため、いじめられそうになったら武道をやっておくことをオススメします!
終わりに
以上、ザッとですが、合気道や武道を学ぶことの良さを書いてみました。なんでもそうだと思いますが、合気道をはじめ、武道は学べば学ぶほど深遠なるものが少しずつわかってくると思うので、その深みにはまりつつも、なんとか自分で体得するところに意義があるなと感じています。
武道を学ぶ場所はたくさんありますので、未経験の方も是非一歩踏み出して、その深みの一端をのぞいてみてくださいね!
特に、子供の頃から何かしら武道をやっていると、精神的にも肉体的にもいいんじゃないかなと思います。